夢のなか/アンテ
 
てから
理由がないことに気づいて
でも それきり
彼女の方を見られなくなってしまう
離れる気配
ぜんぜんまったく
意識が途絶えることの権威なんかじゃない
信じられない
ドアが開く気配
彼女がいなくなる気配
ドアが閉まる気配
身体から力が抜ける
信じられない

薬なんかのせいにするんだ
ぼくは

拳をにぎりしめて
振り返ると
彼女がちょこんと座っていて

甘い甘い

とおでこを指ではじかれた

意識を失うのは
イヤなことばかりじゃない
だなんて
本物の権威みたいだ
今日は何曜日だろう
失われたのは何日だろうか

学校にいる時間が
ぜんぶ夢ならいいのに
だなんて
どうして彼女はそう思うのだろう


                 連詩「メリーゴーラウンド」 3




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