日曜は飯島愛と足尾銅山に行こう/猫道
そのあたりから一言も喋らなくなった飯島さんが、
どんどん青くなっていくようにも見えたが、よく覚えていない。
いつしか辿り着いたのは、集落そのものが廃屋の集まりと化した一角で、
静まり返ったそこにびゅうびゅうと寒風だけが通り過ぎる。
110年も前の鉱毒は未だ残り、
山肌には土壌改良と植林の印に無数の杭が屹立する。
「俺、何で淋しいとか言いながら
こんなとこ来ちゃったんだろう。」
ベストセラー 狙う 頼りない 芽の数々が からっ風に
さらされて 団地みたいに 生えているのが 怖くって
墓場と マンションと 森林と 集合写真が 似ている
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)