日曜は飯島愛と足尾銅山に行こう/猫道
 
間藤駅へ着く。
足尾銅山精錬所跡まで歩いて20分、ここから先は廃線を歩く。

ここが鉱山の街として賑わっていた時期、
線路はその先の精錬所に続いていて、
奥からカネを運び、奥へカネをもらいにみんな集まった。
飯島さんがホステスや愛人をしながら身体を売っていた時期、
奥からカネを運び、奥へカネをもらいにみんな集まった。

そんな考えが頭をよぎると、
なんだか飯島さんの顔をまともに見れなくなってしまった。



廃線はやがて途切れて、鉱山労働者と家族が住んでいた長屋へ出る。
何故かどの屋根も青く塗られて、空と一緒で、
鉄錆や禿山の赤と精一杯メンチ切って向き合う。

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