最後のチャイム/青木龍一郎
 
し暗くなった外を眺めて
僕は「すごく静かになった」と呟く

電気も暖房も消えてしまった教室はひどく寒くて
室内なのに君は白い息を吐いている
僕は、君と関わることを避け続け
モグラ叩きのように繰り出してくる沈黙を淡々とたたき続けるように
独り言を繰り返す


「さっきまでクラスのみんなが居てあんなにうるさくなったのに
 急に静かになってしまった。冬だから日が沈むのが早いよ。
 みんな家に帰ってしまった。世界が静かになったみたいだろう。
 今、この教室には僕と君しか居ない。
 それがどうってことでもないけど、間違いなく絶対的に
 君は心の中の喫煙所を失っている」


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