時間と認識−「存在の彼方へ」を読んでみる13(2)/もぐもぐ
 
る瞬間そのものである。

それまで無意味だった「経験」と「言葉」に、この瞬間初めて「意味」(「認識」)が与えられる。「意味」(「認識」)が成立するこの瞬間、これは、言語を用いて思考する人間が「誕生する」瞬間そのものである。人は非言語的な、半動物的な存在(「赤ん坊」)から、言語を用いて思考する「主体」になる。<語ること>は、「主体」の誕生の瞬間であり、「主体」の始まりである。「主体」にとって、この始まり「以前」の時間は「存在しない」。だから、この、「主体」が誕生した以前の時点、<語ること>がなされた瞬間以前の時間は、「起源以前の過去」「起源に先立つ過去」である。それは主体により記憶されたり、思い
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