時間と認識−「存在の彼方へ」を読んでみる13(2)/もぐもぐ
次元空間に描写が進歩するようなものである。「時間」概念は世界把握のための有効な「ツール」として使われる。それは「実在」しない。「時間」は、純粋に、人間の側の記述のための概念である。
ところが、人間には、実感として、時間の感覚がある。この原初的形態は、現象学によれば「生き生きとした現在」である。運動感覚や触覚において、何らかの「広がり」とか「流れ」のようなものを私たちは感じる。つねり続けているあいだ「ずっと」痛い、これが「時間」の感覚である。またこのような感覚の変容として「記憶」がある(「さっき」痛かった)。このような感覚的な時間経験は、「実在」する。痛いものは痛いのであり、いくら錯覚でも痛い
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