アンナ/タマムシ
 
息を止めて動かなくなってしまいました。わたしの腕の中で、猫のアンナは最後まで人の言葉を口にすることはありませんでしたが、アンナはとても幸せそうに眠ったので、わたしはそんなアンナを悲しく思うことは止めました。

猫のアンナがいなくなってからしばらくして、道端でなついてきた犬に、わたしはアンナという名前をつけて仲良しになりました。わたしは犬のアンナに、アンナや猫のアンナと同じくらいの愛情で、どんなときもいつも一緒に過ごすようにしました。もう残されるのは嫌だと思って、犬のアンナを部屋から一歩も出さずに抱きしめていました。するとしばらくして、犬のアンナはわたしを嫌がるようになり、わたしに噛みついたりし
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