喪失としての時間−「存在の彼方へ」を読んでみる13/もぐもぐ
 
さて、「歴史」が呼び起こす「目的論」との対照において、レヴィナスがそれとは「別の仕方で」、即ち、「経過=喪失(英語ではlapse)」としての「時間」に注目して、その「隔時性」の中で締結される「責任」の倫理を説こうとしているのではないか、そういう展開を先に指摘した。

ここで、分かり難いのが「隔時性」の概念である。これは、「経過=喪失」としての「時間」のあり方そのものを指した概念と思われるのだが、とりあえずこの概念の内容を確かめてみなければならない。

まず、「歴史」の方については、レヴィナスの認識はこうである(第5節、「<他者>に対する責任」)。
「過去把持によって、記憶によって、歴史〔
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