暴力と責任、若しくは<善悪の彼岸>−「存在の彼方へ」を読んでみる11/もぐもぐ
「真夜中になって、主はエジプトの国ですべての初子を撃たれた。王座に座しているファラオの初子から牢屋につながれている捕虜の初子まで、また家畜の初子もことごとく撃たれたので、ファラオと家臣、またすべてのエジプト人は夜中に起き上がった。死人が出なかった家は一軒もなかったので、大いなる叫びがエジプト中に起こった。」
この「過ぎ越し」は、キリストの最後の晩餐(過ぎ越しの食事)にも出てくるし、出エジプトの根拠となった重要な場面なので、詳しい人は知っているかもしれない。それにしてもとにかく、古代人の世界観のぎりぎりの所を見せつけるような、強烈な思想である。しるしをつけていない家はすべて、神の手により、
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