薔薇夢跡/まどろむ海月
 


 垂れこめた暗雲のように
 壊れた機械音が響いてくる


燐寸を落とせば
水は燃え
身をよじる黒煙
炎の舌先は
艶やかな死を求めている

 風の視線に
 置き去りにされた
 ドライフラワー

汚れた地面に散らばる
ほころびた言葉

 時計仕掛けの渦
 未明の鱗光


口にふくむ
途切れた想い出
空洞を飲んでいる月の顔




鋭い哀しみの声に
軋む目を開いた私は
禁断の記憶の扉に歩んでいく
ゆっくりと








  ? 薔薇の部屋


背の高い扉に刻まれた
細い植物線模様の
一つ一つを
しばらく
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