有袋/伊月りさ
ぶら下がっているわたし
の、創立八十年
の、生後十一年
の、柔軟を奮って弾丸になり
この袋を突き破るのは
口のゆるめ方がせこせこしているので
権力は
狡猾なのではなく
短絡的なので
コンクリートの衝立を却下した
わたしは
繊細なのではなく
狡猾なので
ここに放られている
不安定な足元と
息に煽られる境目と
せこせこしている口の
ビニールの袋
始発を捕らえ
交差点に被さり
街灯を吐き出して
わたしの
ポケットに戻っていく
わたしを幽閉して
金魚のように殺していくのだろう
爪のない指先でつくられた穴の向こうに
小さいきみがキャンバスに描く
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