有袋/
伊月りさ
ビニール越しの街
いやらしい
偽物の風を
きみのゆるみに流してしまうわたしは
せこせこしている
わたしはここに
ひとりで収まる
数億の袋をぶら下げた生物が
海をじゃぶじゃぶと闊歩している
気まぐれに投げ出されないように
快適な歌声を漏らすように
口のゆるめ方がせこせこしている
これを熔かせ、太陽
たくさんの
ここにひとりで
ぶら下がっている
わたしは揉みしだかれて
袋は色水で満たされる
(創書日和 霜月「袋」)
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