レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
在の物質性の発見は新たな質の発見ではなく、存在の不定形のうごめきの発見なのである。・・・物質とは<ある>という事実そのものなのである」(p113)
これ以上の追求は、特に必要ないだろう。レヴィナスは初期から「存在の彼方へ」におけるのと同じように、通常の存在(所謂「現実」)の秩序とは異なる、別のあり方を探求していたのであった。芸術の「裸」により開示される「異郷性」は、私たちの当たり前の現実の秩序を揺るがす、若しくはそれ以外の現実をちらりと垣間見せる、「別のあり方」への通路としての意味を持ったものなのであった。
古い時期の議論でもあり、現代芸術の先端的な状況とか、作品を論じたり位置
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