レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
 
ようである。(「これは〜である」という文によって名指しされるものが、「ここにある」ということ、それが「実存」ということだろう。)

それに対して、「実存者」の方は、その実存したりしていなかったりする「個物」(「これは〜である」という風に名指しされるもの)のことである。「者」というのは単に「もの」というだけのことで、「実存者」とは「実存するもの」ということである。

「実存」と「実存するもの」とを分けて論じるのはいかにも意味不明だが、そこは哲学なので仕方がない。中世神学に絡んで行われた「普遍論争」の跡を引いたりしていて、まともに考えるとかなり難しいらしい。ただ、この本でのレヴィナスの関心は、
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