レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
らこんなことを考えられるのか半ば呆れてしまうのは私だけではないだろう)。話はこれだけに留まらず、カントの美学理論や、他の芸術分野にも及んでいる。
さて、こうした「音楽性」こそが芸術に特徴的に見られる要素として抽出されたわけであるが、そのような音楽性が、単に分散した感覚の乱舞に留まらずに、一つの「異郷」、別の世界を指し示すようになるのは、「内面」への準拠があるためである。
「世界の一片をもぎ取って別にし、ひとつの内面の中に、互いに異質で浸透し合わないいくつもの世界の共存を実現させる絵画という事実そのものが、すでに積極的な美的機能を持っている。限定されたものを作らなければならないという物理的必
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