レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
また、絵画でも、アンフォルメルというのか、感覚主義というのか、いやそれ以前に印象派、キュービズム以降の急速な「形からの解放」が、絵画の中のこうした「感覚」としての要素(「音楽性」)をはっきりと見せてくれる(表現としての成否は別に問題とはしていない)。
目を細めてぼんやりとしたまなざしで辺りを見つめるとき、それまで確固とした形を持っていた様々な物(「対象」)たちはその<形>を失い、不定形な色彩の乱舞として、その「感覚(エレメント)」としての姿をあらわす(「音楽性」)。遠近法に支配されることを止めた絵画は、それと同じように、「感覚(エレメント)」としての世界の姿を顕わにするのだ(ところで、どうでもい
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