レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
 
受け入れることが出来る」
「色の場合、事物とのきずなはもっと親密だが、革新的だと感じさせる絵画においてはとりわけ、色は事物から離脱してゆく。そうなると色は今度は、世界内の諸対象の総合とは関係のない多様な調和の中に入ってゆく」(いずれもp107)

何らかの特定の「対象」としての「知覚(認識)」に至らない、その限りにおいて芸術はその「感覚(エレメント)」としての姿を顕わにする。音楽の場合はもとからそうしたものである(音楽が特定の「対象」の「知覚(認識)」を生起させるのは逆にまれであろう)。レヴィナスはこの点から、こうした「対象」の「知覚」以前の「感覚」を、「音楽性」を以って定義付けている。また
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