レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
、時間論等を踏まえた、いかにも難解な感じのものになっている。
如何にも顰め面をした議論の中で、折角身近な「芸術」に関係しそうな話が出てきている。難解であるからといって、簡単にうち捨ててしまうのはいかにも惜しい。
そこで、今回は、レヴィナスの初期の著作「実存から実存者へ」(西谷修訳、講談社学術文庫、1996年)から、こういった厄介な哲学的議論を含まない形で提示されている、レヴィナスの芸術哲学の一端を覗いてみることにしたい。レヴィナスが芸術にどの程度親しんでいたのか、私はよく知らないし、美学的な話にも疎いのだが、所謂「現代美術」の基礎理論として通じるくらいの、かっちりした内容は持っている議
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