現実、夢、リアリティー−「存在の彼方へ」を読んでみる8(2)/もぐもぐ
 
理」を「時間」との関係で考える哲学の伝統に照らして、よりよく明らかになるのだった。

哲学者でない私にも、その異様さを感じ取る方法はある。それは、「現実」という語である。
「真理なんかない」という懐疑論の命題は「現実なんかない」と置き換えることによってその異様さを明らかにする。「現実」を否定するこの命題を「論証」する、そんなことを企てるのは、殆ど「狂気」の沙汰であろう。

だが「大胆」にもレヴィナスはその道を歩もうとする。

勿論レヴィナスは、ここに何らの勝算もなく乗り出すわけではない。「真理」と「時間」、この枠組みで変奏されてきた様々な哲学の中に、レヴィナスの試みを手助けする手掛か
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