子供ではないのだから/鈴木
 
イだか要領を得ない情報が想起される。肝心の顔かたちが判然としない。会ったのが一回だけなので当然といえば当然か。その商売女の名は覚えていない。名刺も捨ててしまった。欠勤日とメールアドレスが確か記されていたような気がする。初対面の人にメアドとか珍しいんだよ? 知ったことではないし実際に知ったことでなくなってしまった女を買ったのはこれが最初で今のところは最後である。確かオプションでAFが一万円、さらに内緒の出血大サービスを持ちかけられたのだが一年と半年を経た現在となってはやったかどうか定かでない。わき腹の丸いかさぶたを手のひらで時折やんわり覆っていた。その肌の冷たさといったら傷が思わず錆に見えるほどで、
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