サイダーは引き戸を開けたから/KETIPA
と触ると
溶けて見えなくなってしまう
溶けてしまったあらゆるものにかこまれて部屋の真ん中で
この手をにくんだけれども
でもこの手はこの手のままで
頭を抱えると抱えたところが徐々に溶けていく
最初から変質させるために溶かすためだけに
そして自分も最後には自分で溶けてしまうためだけに
存在しているなんて
引き戸が目に入るたびに開けたくなる
開けることがどういうことかわかってはいるものの
もうどうせならと一息に開けた
引き戸の取っ手から順番に溶けていき
中にあったそのままにしておきたかったものたちも片っ端から
少しでも触れたところから順番に溶けていき
ああこの自分の存在があ
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