青を、青を、「青を泳ぐ。」/Rin.
 
と駅で出会うことはなかった。当時はまだ、「国民一人当たり平均1携帯電話」のような時代でもなかったので、私は待つより他はなかった。次の電車が来て、人がどわっと吐き出されてくる。だがそこにも、ミカを見つけることはできなかった。これ以上待つと、私が遅刻をしてしまう。今日は風邪でもひいたかな。地下道を抜ける。まだまだ空は夏服だ。私は一人で学校に急いだ。

 上履きの薄い底に響く緑の廊下の冷たさに、いかにも「新学期の朝」を感じながら、3組の扉を開く。新学期、一番困るのは「座席の位置を忘れてしまっていること」だ。つい先月までいたはずなのに・・・毎度のことなので自分でもおかしくなってしまう。
 きっと、こ
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