青を、青を、「青を泳ぐ。」/Rin.
れは、そうそう身近に転がっているものでもなくて、忘れたころにいきなり「オレを表現してくれ!」と出てきたりもする。これだ!と思った題材を、逃さずキャッチできれば、作品の半分は決まったといっても過言ではなかろう。「あの青を」。私はなんとしても書きたかった。タイムカプセルから出てきた写真のような、そんな作品を。誰のためでもなく、青に溺れて、それでも泳ぎきった自分のために。
「出席簿のマス目は斜線で黒くなる卒業までの手帳のように」
先生の顔が浮かぶ。クラスメイトには「怖い」とか「口が悪い」とか、色々言われていたようだけれど、あのとき先生に話せたから、私は青に溺れなかった。
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