青を、青を、「青を泳ぐ。」/Rin.
「そう、その白さは白紙で表現するしかなかったんだよ。」
違う。全部違う。未来の自分に思い出して欲しいものなんて、ここにはない。そんな小さな主張だった。どちらのしても、忘れられないことには変わりはないのに。でも、ミカの一言で救われた気がした。引き潮のように青が、遠のいていくのを感じた。今なら、書ける。青に溺れていた日々を。あのときはただ苦しくて、それだけだった、青。まるで表現されるべき時を待っていたように、今度は手の中の白紙を染めてゆく―――
*
そのときから私はあの青を歌おうとしてきた。作品として形にするために、一番大切なものは「表現したいこと」である。しかしそれは
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