青を、青を、「青を泳ぐ。」/Rin.
始業式の朝まで、私は間違いなく確信していた。普通にこの駅を通って、普通に友達と校門をくぐって、普通に授業をうけて、やっぱり数学は苦手で、普通に寄り道をして、買い食いもして、そしてまた普通の明日が訪れることを。
駅の改札を出て、「田中歯科医院 出口2番より徒歩1分」の広告を背にして立つ。だいたいこういう広告に「徒歩1分」と書いてあっても、本当に1分でたどり着けるためしはない。その日の朝も、相変わらず他愛のないことを考えていたように思う。私はいつも、ここで反対方向から来る電車に乗ってくる幼馴染のミカを待った。あるいはミカがここで私を待っていた。これが「普通の朝」だった。
しかしその日、ミカと駅
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