ステーション/佳代子
りだと真っ直ぐな視線が自信に満ちている
電車が規則破りをしない限り必ずやってくる辛さがあることを
彼は 知らない・・・・・
電車が入ってくる
コーラを抱えて青年が全速力で駆けていく
私は入ってくる電車に目を移す
私を故郷へ運ぶ電車
私に悲しみを運ぶ電車
私には忌々しい電車のドアが開く
デッキに足を踏み込む
もう 戻れない・・・・・・
刹那を刹那と意識する
椿の花落ちるように自然の摂理と意識する
でも、今だけは拒みたいと思った
車窓のスクリーンにはあの青年が映っていた
身勝手な出逢いが許されるものなら
2本の映写フイルムの間の74分の1秒を
譲り受けたいと
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)