ステーション/佳代子
いように
出会えば 必ず別れがあるのに
逢えば 必ず淋しさを知るのに
人はどうしてそれを繰り返すのだろう
コートの襟を立て階段をかけ上ると
容赦なく降ってくるのは甲高い赤ちゃんの泣き声で
困り果て背中をトントン叩きながらホームを行き来する母親
走り回る子供の奇声に業を煮やして
保身のために叱咤する若い親の大声
それが可笑しくて目を細める老人の静かな頬の窪み
ホームの日だまりは私の淋しさを癒してくれる
それでも足下から忍び寄る寒さに耐えかねて
つい時刻表を見てしまう人でなしの私なのだが・・・
アナウンスが入る
足早に若い駅員が通りすぎていく
全て定刻通りだ
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