「光」/広川 孝治
ずっと自分は月だと思ってた
あの太陽がなければ輝けないんだと
ずっとずっと諦めてた
自分の内側には光なんてないんだと
ある日突然太陽を失った
絶望が包む 明るさは取り戻せないと
太陽は僕に光をくれなくなった
暗闇が覆う 光を失った自分に価値はないんだと
心を伸ばせなくなった
僕を輝かせてくれる光が失われてしまったから
自分の手を呪っていた
耐えきれず自ら手放してしまったから
漆黒の闇の中で
初めて気付いた
目が慣れてくると
ぼんやりと見える
どこから光が来てるの?
自分の中に
点滅する
蛍のような
淡く
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)