光量/渡邉建志
 
あの人と重ねるのはやめるべきだと思う。きみはきみであってあの人ではない。きみのことをかんがえてきみのえがおのことを考えて、そのえがおがきみのうちがわからまっすぐに放たれたひかりだということをおもいだすのだけれど、その概念ばかりがおもいだされて、きみのえがおは雲のようにあいまいにかすんでいる。きみのひかりはわたしにはあんまりまぶしい。わたしは1+1=2の確からしさできみに恋しているけれど、おなじぐらいの確からしさで、わたしはきみにふさわしくないと思う。きみはもうすでにあんなにきれいに笑う。幸せという概念がこの世に降りてきたみたいに。そのたびにわたしは思う、わたしという暗闇がきみのせかいに必要であるは
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