「割り切れなさ」と懐疑論−「存在の彼方へ」を読んでみる6/もぐもぐ
 
、語りえないものを洩らすことも可能となるのだが、語りえないものの秘密を漏洩すること、おそらくはそれが哲学の使命に他ならない。」(p31)
というものである。この例として、レヴィナスは「懐疑論」を挙げる。
「懐疑論はおそれることなく言表の不可能性を肯定する。言表が不可能であることそれ自体を言表することによって、懐疑論は大胆にも言表の不可能性を実現するのだ。」(p32)

「懐疑論」とは、大雑把には、「真理を言うことは出来ない」という命題を主張する立場であると言えるだろう。これは論理上自己矛盾だとして、度々批判されてきた(「真理を言うことは出来ない」という命題を、「真理」として「言って」いるで
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