「お隣さん」/菊尾
 
しちゃって。じゃあ、そろそろ・・・」
「あ、はいはい。またね。」
「はい。今度、飲みにでもいきません?」
「ああ、いいね。そうしよう。」
「じゃ、また。」
「はい。」


ドアがガチャンと音を立てて閉まったのでいつもの手つきでチェーンロックをかける。
それは厳密に言うと嘘になる。一般人にしてみたらここはただの空き部屋で何もない。
ただ僕らは生前と同じように生活している為、その際使っていた日常品の類なんかもそのままの形で残せている。
実際には存在しないが、僕らの想念の問題であり、念じればそれは以前の形をイメージとして復元することができる。
ただ新製品や生前
[次のページ]
戻る   Point(1)