Born To WIn [カラスパナ]/プテラノドン
 

いいじゃないかと思ったに違いないが、
「嫌いにさせんなよ!」と、そいつに向かって叫んだ
ジョーイの声は泣きそうなくらいで、僕は聞きたくなかった。
これ以上、世界を嫌いにさせないでくれよ。糞野郎。
僕らは二人とも
そいつの、糞野郎の鼓膜が破けてしまえばいいと思ったが、
僕らのほうでも構わなかった。けれど、破れたのは空だ。
僕はまた、沈んだばかりの夕日と
やけに明るい星空の裂け目から吹き出す
沈んだ風の音を聞いた。
「聞こえる?」と僕は助手席で動けないでいる
スキンヘッドの男が、まるで女の娘であるかのように
優しく笑いかけた。
「これどうやって使うか知っている?」と、今度
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