Born To WIn [カラスパナ]/プテラノドン
の落書きは残されたままだった。
「今何時?」と、友人の問いかけに
僕はクラクションを五回鳴らした。
その音と、工場かどっかに設置された
スピーカーから流れる「恋は水色」のメロディが
重なった。
毎日こんな音楽聞かされたらどうなっちまうんだろう。と、
ジョーイは言った。「たぶん、気絶するんじゃないの?」
と僕は言った。
そして片手はハンドル、もう片方は窓から出して
「気絶した時間を呼び覚ますために」の持論をかざし、
街灯にむけて指を鳴らす僕に、もしもお前の指が
マッチか何かだったら―と、ジョーイは言った。
「街は大火事になるぜ。」
それから、生まれてこのかた僕が出会っ
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