幼年/渦巻二三五
 

いや、思い出したのではなく
ただひらめいたのかもしれない
「上」のことを
自分が「上」からきたことを
そうではない
ただのぼりたかったのだ
のぼらずにはいられなかったのだ
根の森がうとましくてたまらなくなった
というわけでもなく
――人魚の姫などにしても

どちらが上なのかがわかる
それだけはわかる
上、まっすぐ上
根の集まったその先は太く空中にそびえていたが
そんなことは知らない
知っていたのははるか昔
わすれてしまった

溺れそうになりながら土を掻く
くずれないように尿と唾液で塗り固め
美しい穴ができた
つながったのだ
極楽につながる穴
額に空
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