秋桜飛行場/雨傘
シーツは空気を切る音を響かせながら秋空にひろがった。
わたしはそれを物干し竿にかけ、
丁寧に皺を伸ばした。
子ども達は一面に広がる秋桜畑で笑い声を上げている。
家の中からはラジオの音が漏れていた。
夫が荷造りをしながら聞いているものだ。
そう、この家に住みたいと言ったとき、母は心底嫌そうな顔をした。
名義上はわたしのものだが、近いうちに売ることが分かっている土地である。
すぐに売ってお金にすることを母は強く勧めた。
でも、職場を失い、社宅を追い出されたわたしたち家族にとって、
朽ちかけた懐かしい家に住むことの方がちょうどいい選択のように思えた。
新しい家を建
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