「愚痴」/広川 孝治
んでたはずなんだけど
それを目指して歩きはじめたはずなんだけど
そうだった
その人に追い付こうとしてここに足を踏み入れたんだった
でもうつむいて足元を見つめて歩いてるうちに
障害物をよけて進んでいるうちに
気がつくと人影が増えて
最初に求めていた人影は消えて
横を見てもこの道の端は見えない
延々と続く人波が埋め尽くし
もうここから逃れることはできないことを悟る
虹も夕焼けも美しい満月も見えないこの道に
僕は迷い込んでしまったのかな
歩き始めたあの道は
細くて険しくて
あの人しか歩いていなかったけど
その
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