言葉と責任−「存在の彼方へ」を読んでみる4/もぐもぐ
そうとしてきた。ウィトゲンシュタインのように、言語の謎に取り組むことを、自己の一生の課題とした哲学者もいた。レヴィナスも、哲学者の一人として、その謎の前に、慎重に立ち止まろうとするのである。
ウィトゲンシュタインの有名な言葉がある。「語り得ぬことについては、沈黙しなければならない」(「論理哲学論考」6.54。藤本隆志他訳、法政大学出版会、1968年、199ページ)。それと並んで、もしくはそれに抗して、レヴィナスは言う。「語りえないものの秘密を漏洩すること、おそらくはそれが哲学の使命にほかならない。」(p31)と。
さて、しかし、そもそも「言葉」とは一体どのような「謎」なのだろうか。
言葉
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