言葉と責任−「存在の彼方へ」を読んでみる4/もぐもぐ
言葉の謎を探る一つの道具として、哲学は昔から「論理学」なるものを用いてきた。AはAである。あるいはAはBであり、BはCであり、よってCはAである。等々の諸々の論理学の公式。これはアリストテレスの時期に大成された論理の諸法則であって、論理学はそれ自体既に完成された学問であると考えられてきた。他方、このような古い道具とは別の道具で、言葉の謎に取り組もうとする人々もいた。現代に至って発明された記号論理学は、論理学の歴史に革命的な展開をもたらし、哲学の潮流にも大きな影響を与えたのだった(所謂論理分析哲学)。
だがひとまず、レヴィナスはこうした道具の洗練とは別の場所にいる。レヴィナスはあくまで、言葉の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)