言葉と責任−「存在の彼方へ」を読んでみる4/もぐもぐ
た。
だが、一旦、論述の道筋から離れて、素朴に、この二つの言葉を見直してみるとどうだろうか。<語ること>と<語られたこと>。それは何よりも「言葉」というものに関係した表現であるように見える。「言葉」。如何なる思考や、コミュニケーションにおいても、半ば必然的に用いられざるを得ない、人間的な営み。人と出会い意思疎通をする際にも、書物に触れそれを読み解こうとする際にも、そして、詩や哲学を語り述べようとする際にも、人は、必ず言葉を用いざるを得ない。
「言葉」。それはあらゆる思想が一度はその前で踏みとどまらざるを得ない、巨大な謎である。現代哲学も、その難問の前に繰り返し挑んでは、その謎を解きほぐそう
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