Born To Win [time]/プテラノドン
 
が、黄色に塗り替えられたことを。
何人かは知っていただろう。
それがドイツ語で描かれていたことや、塗り替えられた扉の色が
先月のラッキカラ―だってことを知らなくても。抜きにしても。
新たな記憶の門出を祝う者は少ない。むしろ、
事態を回避する為に景色を組みなおす結果、
そこで座ったり、立ったりしている者にとっては
ふいに偽物の地図を手渡されたような気になるかもしれない。
だがそれも馴染むまで。時間はやすりのように
感覚を研ぐのでなく、ならすためだけに動きつづける。
「砂の城を打ち崩す波のように。」と彼女はいった。
一旦止まった色や文字は、時間を吸収することで
自らに課した計り
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