睨子問答 一『荒ら屋にまつろわぬものが爪の痕』/人間
 
らぬ。実際と言葉の差異、そ見る時、聞く必要のある、そ分かつ汝自身からの」

鎮座まします部屋隅に薫らる浅黄の除湿剤、代謝新陳の健全が世界の小さな救み。

「私は”詩”の実際が知りたい。つまり、真実が知りたいだけです。
 勿論、辞書で引く《美的感動を包含した韻律文》という技術的な意味ではありません。
 そして『詩を作るより田を作れ』等と凡俗な回答で誤魔化す事はご遠慮戴きたい。
 いずれも、物事に関わらぬ路傍の人間が言う言葉です」

薩摩人参に浮む人面瘡、麹味噌煮込むこと美味し尋常に非ず。

「了解す朕。然して、”詩”とは何か、とう問いの汝は、
 答えを含むでおるのでなかいか既
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