睨子問答 一『荒ら屋にまつろわぬものが爪の痕』/人間
 
かと問う者、そ考むそ時、
 ”実際の人生”と”言葉の人生”を分かちて無理に矢理。
 言わば、思考の顕微鏡を用て後者へ接物レンズをば当て「人生とは何か」と問う、
 揚句、接眼レンズを覗きつつる曰く「空が無い」と仰る、トドの詰まりに手詰まり息も詰まり。
 かく同様、書かぬで考える、考えるで書かぬ、その時指す汝の”詩”とは。何であるろか一体」

歯軋らす子山羊の余剰利潤を拝借しつつ影のみの雑踏の傍聴者に語る野良の蚊に会釈する朕。

「それは、問うても意味が無い、という事ですか?」

利に従ゆバジェットによりけり適正在庫に満たればくぐもる朕の空腹虫に一瞥す子山羊。

「そは言ちらぬ
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