睨子問答 一『荒ら屋にまつろわぬものが爪の痕』/人間
十匹の泳ぎ子海亀が葛団子と化き、細やかなヒレの羽音を置く枕に肘掛に。
「して、そに答うる朕かも知れぬ、あるるま答わぬ朕かも知れぬ、
どちとも知れぬ今の唯、共に一歩ずつずつ考う事に契りを交わす慎重の汝か?」
獰猛の子山羊、げに訝しげに頷く、茹だり蒸す熱帯夜の挙動そのものの。
「何故に”詩”を問うの汝か?その何か意図は。
《”詩”とは何か》と問うは何故か動機の?」
新米大根役者の隈取を似た半月の八つ裂く四つ折り十六夜。
「それは私の生業であり、且つ又、目指している真理の芸術です」
振る鈴虫も茹だり鳴る、蠱惑るサステイン堆く高く。
「例う、人生とは何かと
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