睨子問答 一『荒ら屋にまつろわぬものが爪の痕』/人間
 
の収縮するる鼻根筋と皺眉筋の渓谷に汗のような鯉のような汗が落つる、応答する朕。

「朕の元に来た汝。語る権威者や万の図書のそを信じらずに。
 又は自家製で御手製の御観念にも籠もらずるに。
 何も持たぬ汝、整った話し合う準備ある者と見受ける朕」

素揚げの油蝉が鳴き声も竹林の靴底に引水しく、皮膚と乾くる汗の淡り切る口火。

「如何にも蛸にも海鼠にも、全く仰る通りです。
 自らや希望する物を権威と吹聴して他を蔑ろに扱き下ろしたり、
 手前の武器(それが言論であれ、兵器であれ)で相手を押し殺す事だけを考える連中ばかりで、
 私は本当に辟易としています」

ねつとりの微風に数十匹
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