睨子問答 一『荒ら屋にまつろわぬものが爪の痕』/人間
 
ともども良い。真摯に在れば。もうそれで生きる。その愛で済む。すぐに止む。



訪れるにト或る晩、吐露す迷うり獰猛の子山羊、その素面酔いたわる彼、迎える朕。

「初めまして、突然の訪問失礼致します。
 私は琵琶朗吟を生業とする者、名は序口葦平衛と申します。
 我が麗しの帝よ。一体”詩”とは何なのでしょうか。
 喜びも悲しみも共に幾歳月、凡百の知人や学者を尋ね歩き、
 謗法とは知りつつも方々を駆け回り鋒鋩と問い詰めましたが、
 皆示し合わせたかの様に言う事が食い違い、全く要領を得ません」

上がる溜飲をば冷し麦茶で飲み下し、撒き散り話す素面酔いたわる獰猛の子山羊、
彼の収
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