「存在の彼方へ」を読んでみる2/もぐもぐ
 
出来なくさせる。見るものは、実際それがいるにせよいないにせよ、どこか遠く離れたところから、見られるものに対して支配を及ぼす。サルトル的な立場からは、見るものと見られるものの間の距離(分離)が超越の大前提であり、その距離は決して解消されないのである。(因みに、何処にいるか分からないが見られている、というこの意識は、まさに神に対するイメージである。サルトルは理論上は無神論の立場を取るのでそれを神とは呼ばないが、神についての意識は十分に持ち合わせていたというべきだろう。)
これに対してレヴィナスは、<語ること>、「近さ」(隣接性)を持ち出している。何かを言うこと(<語ること>)は、常にそれを聞く可能的
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