奥にあるコーナー/詩集ただよう
けた彼のことを思いながら、静かに手を合わせた。顔を囲む花々に、摘んでおいた蒲公英を添えて、遺体の頬をそっと撫でた。
新しい環境で、私は一人暮らしに向けて、スーパーマーケットで調味料を買い漁っていた。彼女とはそこで出会った。
「それは添加物が多いからやめた方がいいですよ」彼女は突然に「なんて、本で読んだんです」と、言った。私は少しの喜びをこぼした。
「ここには越して来たばかりなのですが、この街も夏は祭りをやっていますか」
「私も、私も越して来たばかりで、すいません」
「…ああ、それじゃあ、どこの調味料がいいですか」
その一週間後、私たちは二人して新しい街の祭り囃子を聴いてい
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