言葉が生まれる場所 魂の行方/飛鳥 彰
がっているんだよ」
少年はその話を聞きながらも自分が今生きている現実って
そんな健全さのうちにないってことをうすうす感じている
いつまで待っていても春は来ないかもしれないのだ
かつて太古の昔から満ちていたはずの光も
此処までは届かないかもしれないのだ
それでも詩人のいうようにやはり魂は成長したがっているのかな
詩人は自分が信じてこう思うということを少年に話したのだった
老いた詩人の言葉の背後には 農場や畑の世話をしたり
三度の食事をきちんととったりということをこなしてきた毎日がある
日々のささやかな営みの中から体験を通して
生まれてきた言葉には詩人の血が通
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