言葉が生まれる場所 魂の行方/飛鳥 彰
が通っている
ほかの誰でもない詩人自身のことばなんだ
だから堅牢な建物のように揺るぎなく自信に満ちていて力強い
その強さは強烈な磁力とか引力を持ちながら 一方では
そういう自信を持ち得ずにいる少年や少年の父母の世代を焦らせる
少年は自分のからだの中から言葉を生むことが
とても難しい時代に生きていると感じている
少年や両親の世代の前に 闇が暗い谷底のように口を開けて
不気味に横たわっている 誰もがその闇を抱えて生きていかなくてはならない
その闇の中でもなお自分を見失わずに生きつづける道を少年は探っている
自分のやり方でその道を見つけようと少年は考えつづけてきた
光合成のできないような環境でも菌類は立派に生き抜いているのだ
生命は本来しなやかでしたたかなものなんだから魂は成長したがっているといえるのだ
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