言葉が生まれる場所 魂の行方/飛鳥 彰
も
ぼくたちがこの身体を持っているからなんだから
だったら成長なんてしなくてもいいじゃないか」
老いた詩人はそれに対してしずかにこう答えた
「本当にきみの言う通りなんだ でも成長するってことが
魂の本質なんだから仕方がない 少年よ考えてもごらん
きびしい寒さの冬から温かい日射しの降り注ぐ春への道のりを
花が咲き木々の芽が芽吹く春になったら
T・S・エリオットが四月は残酷な季節だといったような
春の女神が幌馬車に乗ってやってきたら大地に蒔かれた種から
青い芽が出るように そしてそれが光に向かって伸びていくように
ぼくたちの魂や生き物たちの魂は成長したがっ
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